「精神科看護師はレベルが低いと言われる理由ってなんだろう?
精神科看護師ってどうやってスキルアップしてるんだろう?
精神科に興味があって精神科で働いてみたいと思うけど、やっていけるか不安だな…」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 精神科看護師はレベルが低いと言われる理由は1つ【身体管理ができないから】
- 精神科看護師はどうやってスキルアップしているか?
- 精神科で働いてみたいけど、本当にやっていけるか不安な看護師へ【やってける!!】
こんにちはオッシーと言います。
いつもブログお読みいただきありがとうございます(ペコリ😌)
本記事は精神科ではない一般科で働く看護師の方へ向けて書きました。
結論から言うと、精神科がレベルが低いと言われる理由は「身体管理ができない」のヒトコトに尽きます。
それでは精神科看護師は一体どこまでできるのか?
そんな精神科看護師と、あなたはいっしょに仕事をしていけるのか?
こんなことを解説していきます。
記事の信頼性
1. 精神科看護師はレベルが低いと言われる理由は1つ【身体管理ができないから】
やっぱり「身体管理ができない」からではないでしょうか。
「身体管理ができない理由」は言うまでもなく、やる機会が少ない or ないからですね。
身体合併症のケアをした精神科看護師のインタビュー
「一 般科での経験がないので,突然の吐血の対応にどうし ていいかわからず判断が難しい」
「状態が急変しても どうしたらいいのかわからないから,人を呼ぶしかな い.経験があまりないから,何をどうしていいのか判 断がつかない」
「肺炎にしても 肺音を聴取したことがないため,悪化時の具体的な音 がわからない」
「イレウスの患者の腸音を聴く経験が少ないので,どう判断していいか難しい」
藤野成美 精神科看護師が身体合併症ケアを実施する上での 臨床判断における困難さ
国際医療福祉大学学会誌第20巻2号(2015)
私も10年以上精神科看護師をやってきましたが、「心電図を読める?」「フィジカルアセスメントできる?」と言われると、ダメダメです。
超絶な余談ですが、私のプリセプターは心疾患の患者さんが入院してきたときに「わたしのこの精神療法で心のつっかえを取ってみせよう」と言って、一般科経験のあるベテランナースにめっちゃくちゃ怒られてました。
精神科看護師の身体管理のレベルをまとめてみた
ざっくりですが、精神科病院で10年以上働いてきた経験からまとめてみました。
レベル1 | 採血 点滴 バルーン留置 | ◯ |
レベル2 | フィジカルアセスメント 心電図読み取り 救命処置 | △ |
レベル3 | シリンジポンプ ドレーン管理 人工心肺 高カロリー輸液 | ✕ |
驚かれるかもですが、私も13年急性期病棟にいてレベル3は一度もやりませんでした。
もちろん高齢者の入院も増えてきています。
そして精神科身体合併症病棟で働く精神科看護師もいます。
しかし厚生労働省の統計によると、精神病床の66%は「慢性期病床」。
療養している患者さんにレベル2や3のようなケアがされることはほぼありません。
「看護師ならレベル1〜3どれもできてアタリマエ」と思うかもですが、その「アタリマエ」は精神科では必ずしも「当たり前」ではないことがあります。
というわけでレベル1程度の身体管理しかできない精神科看護師はいることは事実ですが、そんな看護師を「レベルが低い」とアセスメントするかはあなたの自由です。
とはいえ精神科看護師が身体管理について何もせずぼーっとしてるわけではありません。
2. 精神科看護師はどうやってスキルアップしているか?
精神科看護師はこんな感じで身体管理のスキルアップしています。
- 資格取得
- 自己学習
- 一般科へ転職
①資格取得
例えば救急救命のスキルです。
実体験で言うと、私の後輩は「急変処置ができるようになりたい」と、救急救命の資格を取ってました。
資格はACLSプロバイダーというものです。
(ACLSはAdvanced Cardiovascular Life Supportの略 )
②自己学習
これはみんなやってますね。
本など買って自宅学習です。
私の先輩は毎年看護技術を買っていました。
なんでも処置のエビデンスが毎年アプデされて、その違いを見るのが楽しいと言ってました。
あと私もそうでしたが、研修医の先生に教えてもらったりして勉強しています。
③一般科へ転職
これが最強のスキルアップですね。
精神科一筋で働いていて、7年目あたりでいきなり救急救命の世界に飛び込んだ看護師もいました。
救急救命は一番極端な例ですが、身体管理ができないからしばし精神科を離れる看護師は多いです。
もちろん私のような身体管理が弱みを抱えながら働く人もいますが、精神科看護師が全員そういうわけではなく、身体管理のスキルアップのために行動してる人もいます。
3. 精神科で働いてみたいけど、本当にやっていけるか不安な看護師へ
「いま精神科以外の科で働いていて、興味があって精神科で働いてみたいと思ってるけど、本当にやっていけるかな…」
もしあなたがこんなふうに感じていたら、私は「あなたはやってける!!」というスタンスです。
最初はみんな経験ゼロですよね。
あなたが初めて就職した診療科も経験があったわけじゃないはずです。
いろんな科の看護師が転職してきました
- 小児科
- 産婦人科
- 内分泌科
- 脳外科
- 消化器内科
みんな精神科未経験だけれども、精神的なケアを学びたいと話してました。
小児科で働いていたけど、10代の摂食障害の患者さんの心理ケアができなかった。
産婦人科だったけど、産後うつの女性のケアがわからなかった。
ソッコーでドロップアウトした看護師もいました
精神科の身体管理にドン引きして、数日(最短1日)で辞めていく人の姿も見てきました。
記憶して限りだと、こんなことを漏らしていました。
- 「こんな主観が混じったアセスメント見たことない」
- 「こんなおおざっぱなスライディングスケールはじめてみた…」
- 「医療器具がなさすぎる…これじゃ急変しても何もできない」
私のいた職場ならではの問題もあったかもですが、、、
とはいえ「精神科は今まで自分がいた科とは違うんだ」と割り切ることができるなら、働き続けることができます。
結局は「精神科への興味」と「精神的なケアを学びたい」熱意しだいです。
最終的には、私の見てきた先輩後輩は元々ある「身体科のスキル」に加えて「精神科のスキル」を身につけて、精神科看護師になってレベルが低くなるどころか、2, 3年のあっという間にレベルアップして古巣である元の科目に帰っていきました。
というわけで、今回はこれで以上です。
お読みいただきありがとうございます。
参考 / 引用
・藤野成美 精神科看護師が身体合併症ケアを実施する上での 臨床判断における困難さ
国際医療福祉大学学会誌第20巻2号(2015)
・精神保健医療福祉の現状 厚生労働省