「精神科看護師のあるあるを知りたいな〜
精神科に興味があるから色々知りたい!!」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
こんにちは、オッシーと言います。
いつもブログ訪問ありがとうございます(ペコリ😌)
精神科って興味があるけど、イメージがわきづらいですよね?
そこで精神科看護師歴13年の視点で、ネット上のあるあるをリサーチしてみました。
基本的にはどれも「なるほど〜、たしかに〜」ってカンジでした。
しかし「これは誤解してしまうかも…」と思うものもあったので、一つずつ解説していきます。
後半では精神科の「エンタメ作品」もご紹介します。
ぜひ本記事を読んで、精神科へ興味を広げていきましょう。
記事の信頼性
1. 精神科看護師「あるある」10選
まずは代表的なあるあるです。
①治療のゴールは「完治」ではない
「完治ではない」と言われてもイメージしづらいかもしれませんね。
たしかに精神科のゴールは完治ではありません。
例えば、統合失調症は一般的には完治しないと言われています。
しかし統合失調症は治療もできるし、退院もできます。
私が印象に残っているのは、スーツ姿で外来の待ち合いにいた男性(元入院患者さん)。
仕事帰りだったそうで、「今でもときどき『声』(幻聴のことです)は聞こえてます」と話していました。
もし完治がゴールだったら、こういう人もずっと入院することになってしまいますね。
②精神科以外の診療科は「一般科」と呼ぶ
「一般科」とも「身体科」と呼ぶことがあります。
「こんな言葉ないよ!!」と思った方はその通りですw
というのもこれは精神科だけで使われる用語だからです。
精神科看護師はよその病院に行くときだけは「一般科」や「身体科」とは口にしないようにしてます。
③他の診療科では使わない薬が多い
たしかに多いですね。
例えば、幻覚や妄想を和らげる「抗精神病薬」。
「抗うつ剤」は他の科では使わないですね。
ただし精神科でも下剤、整腸剤、胃薬のような薬も使います。
④入院形態に決まりがある
精神科の入院形態は特別ですね。
例えば、任意入院、医療保護入院、措置入院。
遠い昔、国試で暗記したアレです。
覚えるのが大変ですが、毎日触れるので自然と頭に入ってきます。
⑤男性看護師が多い
これは代表的なあるあるですね。
5割は男性って病院も珍しくないです。
私の病院もそうでした。
男性看護師が多い理由はイメージ通りかと思います。
患者さんが興奮したとき制止しなくちゃいけないからです。
⑥精神疾患は他人事ではないと気付く
例えば上司からパワハラを受けて、仕事に行けなくなった。
その後うつ病になった患者さんを受け持つと、他人事ではないと感じます。
患者さんをケアしつつ、自分自身は仕事とどう向き合うかを考えると、自分の精神的な健康も守れます。
⑦施錠に敏感になる
出口につながる扉はすべてに鍵をかけます。
精神科では自分の意思で入院している患者さんだけではありません。
扉が開けっぱなしになっていたらどうなるかは、、、想像できますね…
⑧「危険物」チェックに厳しい
リストカットといった自傷行為を防止するためですね。
はさみ、ペン、ベルトは病室に持ち込み禁止です。
⑨目に見えない世界に強くなる
幻聴や妄想は経験できないので、患者さんの心は想像力を働かせて描きます。
統合失調症の症状は採血データじゃわからないですからね。
⑩コミュニケーションスキルが身に付く
私はダメダメでしたが、「聞く力」が身につきます。
患者さんは悩みを解消して欲しいというより、悩みを聞いて理解して欲しいと思っていますので。
とはいえこれは精神科の患者さんだけの欲求じゃないですね。
2. 精神科看護師「あるある」だけど、誤解されそうな「あるある」7選
次は誤解しないよう注意が必要なあるあるです。
①残業が少なく定時で帰れる
「精神科は残業ないからラクと聞いたことありませんか?」
たしかにこれは半分正解。
しかし半分間違いです。
精神科には2種類あります
- 慢性期
- 急性期
慢性期病棟は病状が安定して、ADLも自立してる人が入院します。
イレギュラーは起こりづらく、救急も受け入れる役割は基本ありません。
急性期病棟は病状が不安定な人が入院します。
例えば今まさに命を絶とうとして家族に保護された人。
東京駅で暴れて警察に保護された人。
予期しないことが起こるが当たり前。
24時間体制で救急の受け入れをします。
というわけで残業が少ないは、慢性期だけのあるあるです。
急性期は残業めちゃくちゃ残業します。
例えば急に隔離や拘束が必要になったり、緊急入院もバンバン来ます。
精神科看護師なりたいと思っている方は、慢性期と急性期を間違えないようにしてくださいね。
②医療行為が少ない
これも残業と同じで、慢性期は少ないです。
慢性期の患者さんはADLが自立してるので特別な処置はしません。
一方で急性期は毎日処置ばかりです。
拘束中は点滴、バルーン留置、モニタリングが基本です。
とはいえ精神科以外の診療科目と比較すると、精神科は基本的な処置が多いです。
③他の診療科と比較して夜勤が楽
これも慢性期あるあるです。
繰り返しですが、慢性期病棟は病状が安定してる患者さんが多いので夜も静かです。
急性期は楽じゃありません。
夜でも症状は悪化しますし、救急搬送も多いので仮眠できないなんてザラです。
④長期入院中の患者さんが多い
慢性期だと10年以上の患者さんと接することもあります。
急性期は色々とルールがあるので、平均入院期間は1か月くらいです。
2,3日で退院する人もいれば、まれに1年くらい入院する患者さんもいます。
⑤暴力や暴言がみられることも
慢性期では多くないと思います。
急性期では、、、暴言はしょっちゅうですね。
「この、ク◯看護師」「てめぇ、このヤロウとか」などなど、、、
とはいえ精神症状からくる暴言なので基本すべて流せます。
症状が回復すると「すいませんでした」と謝られることもあります。
暴力については、一般科と比較すると多いかもしれません。
私も殴れたり蹴られたりの傷害で1か月入院したことあります・・・
⑥卓球や麻雀、カードゲームで盛り上がる
レクは慢性期とデイケアですね。
たしかに卓球やイベントがたくさんあります。
急性期病棟は治療メインなのでレクはまずありません。
私も13年間で卓球ラケットは一度も握りませんでした。
レクを楽しみたい方は慢性期です。
⑦一年を通して行事がたくさん
これも慢性期ですね。
お祭りとかクリスマス会ありあす。
急性期のレクや行事はあってもデイケアのスタッフが担当します。
看護師は看護ケアのみです、、、
3. 精神科看護師のよくある間違い「あるある」2選
最後はよくある間違い「あるある」です。
精神科看護師は性格が悪い
どこかで耳にしたことがあるかもですが、これは間違いです。
そもそも精神科の看護師が性格が悪い根拠はありません。
ただし性格の悪い精神科看護師が目出つのはたしか。
なぜなら精神科看護師は母数が少ないからです。
医療労働 看護職員の労働実態調査よると、
一般病棟で働いてる看護師の割合は全体の53%。
精神病棟は3.8%。 その差は約14倍。
真相はこんな感じです。
- 精神科看護師はそもそも人数が少ない
↓ - 性格が悪い看護師がいると目立つ
↓ - 目立つと多いように見える
↓ - 精神科看護師は性格が悪い
なので心配する必要はないです。
精神科で働くと病む
もしかすると共感力が高すぎる人だと、気持ちが飲み込まれてしまうかもしれません。
しかしこれは精神科に限ったことではありません。
例えば終末期のがん患者さんと接しても同じです。
どこの科ではなく、距離の取り方が大事ですね。
看護師が精神的に不調をきたすのは、オーバーワークや人間関係のストレスではないでしょうか。
むしろ残業なくゆっくり働ける慢性期の方が病まないのではないでしょうか。
4. 精神科のことをもっと知るなら「エンタメ作品」もありです
精神科のことをもっと知るなら「エンタメ作品」もありです。
もちろん臨床と違うところはありますが、まぁカタイコト言わずに楽しみましょう!!
いくつか代表的な作品をご紹介しますね。
私も大学生の頃や臨床時代の息抜きで楽しんでました。
漫画
ブラック・ジャックによろしく9〜13巻
有名な漫画なので、ご存知の方もいるかもしれません。
精神科病棟の雰囲気が、自宅で味わます。
私も大学生の頃に読みました。
2001年の日本で起きた事件もモチーフにしています。
気持ちが沈んでしまうかもですが、精神科に興味があるなら一度は読んで損はありません。
精神科編は「9〜13巻」の5冊です。
全部買うと1600円ですが、KindleUnlimitedなら1か月間980円で5冊とも読めて、他の巻も全部読めます。
どちらでもお好きな方法でどうぞ。
追記:2023/08/22
ブラック・ジャックによろしくはこちらで完全無料で読めました。
すいません、リサーチ不足でした🙇
映画
ビューティフル・マインド
統合失調の症状が描かれています。
治療シーンは「ちょっと誇張されてるかなぁ…」と思いますが、幻覚や妄想がどういったものかイメージが湧きます。
精神科が好きな看護師はほぼ全員見てるカンジです。
シャッター・アイランド
レオナルド・ディカプリオがお好きな方はおすすめ。
ただし、エグいくらい難解な映画です。
観終わって「???」だったら「シャッターアイランド 考察」とググるとスッキリしますw
ちなみに私も後輩の女性からオススメされて観ました。
女性からオススメされて観ない映画はないです。
カッコーの巣の上で
1962年の作品。もはや古典です。
精神科で働くことになったら、年配の医師からいつか必ず質問されます
「きみは『カッコーの巣の上で』を観たことはある?」と。
というわけで観るだけで、グッと仕事がしやすくなります。
小説
ノルウェイの森
日本を代表する作家、村上春樹さんの代表作ですね。
具体的な精神疾患の名前は出てきませんが、精神科の空気が強く漂っています。
性描写が苦手な人にはおすすめできませんが、読後の余韻はいつまでも残ります。
入院患者さんの枕元に「ノルウェイの森」が置いてあるのも何度も見かけました。
そういうことなんだと思います…
参考書
はじめての精神科
最後はこれはエンタメではなく、ガチ本ですwww
精神科医 & 作家でもある先生が書かれた本です。
統合失調症やうつ病といった疾患のイメージ。
援助者である私たちの精神を安定させる方法がわかります。
イチバンのおすすめはP.296。
著者である精神科医がむかついて、患者に喧嘩を売って挑発するエピソードです。
精神科病院に就職したら、必ずナースステーションの本棚に置いてあります。
いま読むか、あとで読むかというレベルの必読書です。
それでは、今回はこれで以上です。
精神科に記事はこれからも増やしていくので、どうぞお楽しみにしてください😌